新 刊 紹 介 |
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書籍名 | 「本質直観」のすすめ | ||||
著 者 | 水越 康介 | |||||
出版社 | 東洋経済新報社 | 発売日 | 2014/02/28 | 価 格 | 1.500円+税 |
著者は、首都大学東京大学院ビジネススクール准教授。
専攻はマーケテイング論、商業論、消費者行動論。博士(商学)。
「本質直観」とは何か。著者は冒頭にこう述べている。
本質直観とは、ビッグデータや統計分析がもてはやされ、データ至上主義的にさえ
感じられる、昨今のビジネスの現場を見つめ直す試みであり、まず自分自身が
しっかりとものごとを考える。
データに振り回されず、かつ自己満足で終わりもしない。そうして生産的なアイデア
を作っていくための具体的な方法が、本質直観なのです。
本書は、日々ビジネスに携わる方に向けて書いています。
・・・特にマーケテイングや商品開発に関わる方にとって、本書はより意味のある
内容であろうと思います。
本質直観を理解すれば、マーケテイング・リサーチがどのような役割を果たせば
よいのか、いままでとは180度異なる見方ができるようになるでしょう。
12章の構成であるが、大きくは以下のような内容構成になっている。
◇本質直観とは何か
◇実際のケースから「本質直観」を考える
・レッツノートの開発プロセスとユーザーコミュニティの深い関係
・銀行ATMにバックミラーがつけられた「驚き」の理由とは?
・「無意識的な思考」や熟練の寿司職人の技を共有するには?
◇経営学・マーケテイングの方法から「本質直観」を理解する
・誰のどんな声を聞いてどう応えるか―市場反応とセグメンテーション
・市場志向がめざすものとは?―オブザベーション
・無意識は取り出せるか?―心脳マーケテイングとZMET
・リサーチの強みと弱みは反転する―リサーチを生かす組織の仕組み
フッサールの「現象学的還元」と「本質直観」という話が織り込まれ、
やや難解な面もあるが、リサーチをしても消費者に聞いてもヒット商品に
なるようなアイデアが発見しにくいといわれる今日、マーケター自身の
本質直観を基本にして、それを掘り下げ、自分自身にその確信を問い直す
ことによって、その確からしさを高めていく。
自分で考えるということを徹底していきましょう、という著者の主張を
興味深く感じました。
(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)