▼マーケティングの基本理念は「顧客志向」といわれています。
意味は非常に単純明快ですが、実務の中で具体的、
個別的な現場の中での実践ということになると、
単純明快な「解」はないというのがマーケティング活動における実際です。
▼具体的な実務状況の中で「マーケティング・コンセプト」(顧客志向)をどのように理解し、
実務活動の成果につなげていけばいいのでしょうか。
今回は、マーケティング理論の研究とともに実務家を対象としたエクササイズ研修を
されている神戸大学大学院教授の栗木先生をお招きして、事例を織り込みご解説頂きました。
▼明暗を分けた要因は何か
「マルちゃん鍋用ラーメン」VS「スマートアイ」
共に製品やサービスのコモディティ化が進む市場の中でオンリーワン(差別化)
を実現した製品。しかし、収益性は大きく異なる。
差別化した商品の場合、市場に定着させるには時間がかかる。
消費者に使い方を粘り強く教えてゆき、長期的に顧客を創造してゆく必要がある。
顧客志向とは、決して消費者の「いいなり」になることではない。
顧客を創造してゆく、マーケットを変えてゆく忍耐が必要になる。
▼差別化だけではなぜ、ダメなのか?
差別化の空転―イノベーションのジレンマ
・ニーズの追い越し
・破壊的イノベーション
▼マーケターへの誘惑「あれもこれも症候群」
マーケテイング担当者は、より大きな需要を求めて、さまざまな必要や要求へと
応えるオプションを製品やサービスに次々と付け加えたくなる。
たとえば「マルちゃん鍋用ラーメンにスープを加えれば、製品の用途や便益は
拡大するかもしれない。
しかし、そのことを訴求すればするほど既存の生ラーメンとの競争に巻き込まれていく。
▼「顧客志向」という言い訳
・
部門の都合の言い訳
⇒顧客に喜ばれることを究極の目的にして会社全体のことを考える。
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創造的対話の欠如の言い訳
⇒顧客志向はシンドイ面があるが、やり抜く気概を持つ。言い訳に流れてしまわない。
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近視眼の言い訳
⇒コロンブスの卵を事前に見抜くのは難しいが、クリエイティビティは
イマジネーションなくしては生れない。
(マーケティング共創協会 座間 忠雄)