新 刊 紹 介 |
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書籍名 | ジェネレーショノミクス | ||||
著 者 | 松田 久一 | |||||
出版社 | 東洋経済新報社 | 発売日 | 2013/11/21 | 価 格 | 1.800円+税 |
著者は、『「嫌消費」世代の研究』(東洋経済新報社 2009年)で話題を呼んだ、松田 久一氏(ジェイ・エム・アール生活総合研究所代表取締役社長)。
いま我が国は「アベノミクス」について大きな関心が持たれています。その行く先についてはエコノミストによって賛否が分かれています。しかし、いずれにしても経済学理論が前提になっています。
本書の副題は「経済は世代交代で動く」、(はじめに)のタイトルは「日本経済を世代論で読む」とあるように、世代論をベースにして今後の日本経済について8つのシナリオを描いている点がユニークです。
世代論の理論的な基礎づけと区分の有効性や世代区分の長さ、区分の根拠、区分の起点、実証方法等について専門的な整理をした上で論を展開している。
世代の有効性を探るため146の価値意識が人のどのような属性によって変わるのかを調査分析し、「20年世代区分」が有効性をもつことを確認し、4つの基本世代区分に、性別を加えて理論的には8つの世代区分を想定している。
そして消費水準は異質な世代のライフサイクル通過で変わる。これは「消費好きの世代」(好消費世代)から「消費嫌いの世代」(嫌消費世代)へ、あるいは逆に「消費嫌いの世代」から「消費好きの世代」へと、消費市場での世代交代がライフサイクルとの相互作用によって起こるからである。(「消費意識」は世代交代によってどう変わっていくか。)
また「勤労意識」は世代交代によってどう変わっていくか、「信頼意識」は世代交代によってどう変わっていくか、人口と家族は世代交代によってどう変わっていくか等々の考察を加味して、21世紀の日本経済について8つのシナリオを提示している。
最も望ましいシナリオは「黄金消費経済」と呼ばれるもので、製品革新などのイノベーションによって新しい欲求の体系が創出され、「好消費(低貯蓄)」へと転換が起こると新しい成長市場が生まれ、国際競争力は高まる。最も悲観的なシナリオは「マフィア経済」への転落である。
日本経済の今後について世代とライフサイクルによって価値意識や消費意識が変わるという視点からの経済変化のシナリオ提言であるが、「黄金消費経済」シナリオについて上記のように「製品革新などのイノベーションによって新しい欲求の体系が創出され……」と述べられている。これは今後の商品開発・マーケテイングの目指すべき方向性・課題にも符合しているように思います。
(マーケテイング共創協会 座間 忠雄)